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取り組み・業績

取り組み・業績

宮城県におけるアレルギー医療体制の地域間格差を明らかにするための調査結果が、日本アレルギー学会雑誌「アレルギー」に掲載されました。

原著論文   「宮城県内におけるアレルギー疾患医療実態調査」
A survey on medical care for allergic diseases in Miyagi
雑誌   アレルギー. 2023;72(1):26-36.

相澤 洋之1, 藤野 直也1, 松本 周一郎1, 佐野 寛仁1, 齋藤 拓矢1, 畠山 哲八1, 京極 自彦1, 市川 朋宏1, 小荒井 晃1, 堀野 智史2, 三浦 克志2, 杉浦 久敏1

1)東北大学大学院医学系研究科内科病態学講座 呼吸器内科学分野 
 Department of Respiratory Medicine, Tohoku University Graduate School of Medicine 
2)宮城県立こども病院 アレルギー科
 Department of Allergy, Miyagi Children's Hospital

宮城県内におけるアレルギー診療体制の現状としては、アレルギー専門医が仙台市に偏在しており、その他の地域との医療供給体制に格差を生じていることが懸念されていました。この報告は、専門医・非専門医の隔てなく宮城県内全域の医療機関に調査を行い、県内のアレルギー疾患対応の現状や地域毎に抱える課題を明らかにした初めての報告となります。

本研究の結果からは大きく以下の3つが明らかとなりました。

1)   食物・薬物アレルギー、アトピー性皮膚炎治療管理に難渋する医療機関が多いこと
2)   アナフィラキシー診療において、仙台市医療圏では、その他の地域と比較して救急搬送先を見つけることに苦慮している状況が存在していること
3)   近年開発が進んでいる生物学的製剤の使用については、仙台市以外の地域では低い傾向にあること

本検討は、県内全域の医療機関を対象とした大規模な調査結果をもとに都市機能格差に付随した医療体制の格差について解析を行ったもので、本邦において前例をみない試みであります。本結果から、県内における仙台市と仙台市以外のアレルギー診療環境に懸隔・差異が生まれている可能性が示唆されました。地域ごとに、アレルギー診療の実情や課題は異なっており、その解決・発展には多様性を考慮した工夫・取り組みが必要であります。
このような問題を解決すべく、本ウェブサイトでは、患者さんや御家族、または各診療施設に対して、県内のアレルギー専門医療機関情報を発信していきます。

なお本研究は、令和2年度厚生労働省「アレルギー疾患対策都道府県拠点病院モデル事業」の支援を受けました。

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