取り組み・業績
宮城県立こども病院 アレルギー科 堀野智史先生等が行った、宮城県の食物アレルギーと学校給食に関する調査・解析が日本アレルギー学会 学術誌【アレルギー】に掲載されました。
原著論文 | 「宮城県の食物アレルギーに関わる学校給食の現状と教職員のアンメットニーズ」 Current status of school lunches related to food allergy and unmet needs of teachers in miyagi prefecture |
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雑誌 | アレルギー. 2024;73(5):399-405. |
堀野 智史1, 尾崎 理史1, 2, 山口 祐樹1, 宮林 広樹1, 秋 はるか1, 相澤 洋之3, 藤野 直也3, 杉浦 久敏3, 三浦 克志1
1)宮城県立こども病院 アレルギー科
Department of Allergy, Miyagi Children's Hospital
2)JCHO仙台病院 小児科
Department of Pediatrics, JCHO Sendai Hospital
Department of Respiratory Medicine, Tohoku University Graduate School of Medicine
食物アレルギーを有する児童・生徒数が増加傾向にあり、学校給食の食物アレルギー対応に変化が生じていることが推察される状況であることから、現場で対応にあたる教職員が直面している課題や負担に関する実態調査が行われました。
令和3年1月から3月の期間に宮城県内の600の小中学校にアンケート調査を実施。169校から回答を得られ、対象となる児童・生徒の総数は46,604人でした。食物アレルギーの罹患率は5.6%でした。
教育現場においては、医師の診断によらない食物除去が行われている可能性や、アナフィラキシーに対し迅速な使用が求められるエピペン®に関して、一部の学校では本人やその場の教職員が実施できない状況にあることが示唆されました。
給食対応に関しては「食物アレルギー児の増加」、「原因食品の多様化」、「除去する食品の不明確性」が問題点として認識されており、対応を行う職員の精神的な重圧や業務過多の現状を訴える回答も寄せられました。
食物アレルギーに関する適切な知識の普及や対応する教職員の負担軽減に向けた課題が明らかとなりました。
なお本研究は、令和2年度厚生労働省「アレルギー疾患対策都道府県拠点病院モデル事業」の支援を受けました。
宮城県におけるアレルギー医療体制の地域間格差を明らかにするための調査結果が、日本アレルギー学会雑誌「アレルギー」に掲載されました。
原著論文 | 「宮城県内におけるアレルギー疾患医療実態調査」 A survey on medical care for allergic diseases in Miyagi |
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雑誌 | アレルギー. 2023;72(1):26-36. |
相澤 洋之1, 藤野 直也1, 松本 周一郎1, 佐野 寛仁1, 齋藤 拓矢1, 畠山 哲八1, 京極 自彦1, 市川 朋宏1, 小荒井 晃1, 堀野 智史2, 三浦 克志2, 杉浦 久敏1
1)東北大学大学院医学系研究科内科病態学講座 呼吸器内科学分野
Department of Respiratory Medicine, Tohoku University Graduate School of Medicine
2)宮城県立こども病院 アレルギー科
Department of Allergy, Miyagi Children's Hospital
宮城県内におけるアレルギー診療体制の現状としては、アレルギー専門医が仙台市に偏在しており、その他の地域との医療供給体制に格差を生じていることが懸念されていました。この報告は、
となります。本研究の結果からは大きく以下の3つが明らかとなりました。
1) | 食物・薬物アレルギー、アトピー性皮膚炎治療管理に難渋する医療機関が多いこと | |
2) | アナフィラキシー診療において、仙台市医療圏では、その他の地域と比較して救急搬送先を見つけることに苦慮している状況が存在していること | |
3) | 近年開発が進んでいる生物学的製剤の使用については、仙台市以外の地域では低い傾向にあること |
本検討は、県内全域の医療機関を対象とした大規模な調査結果をもとに都市機能格差に付随した医療体制の格差について解析を行ったもので、本邦において前例をみない試みであります。本結果から、県内における仙台市と仙台市以外のアレルギー診療環境に懸隔・差異が生まれている可能性が示唆されました。地域ごとに、アレルギー診療の実情や課題は異なっており、その解決・発展には多様性を考慮した工夫・取り組みが必要であります。
このような問題を解決すべく、本ウェブサイトでは、患者さんや御家族、または各診療施設に対して、県内のアレルギー専門医療機関情報を発信していきます。
なお本研究は、令和2年度厚生労働省「アレルギー疾患対策都道府県拠点病院モデル事業」の支援を受けました。